LOCKED ROOM

Let's Magic!! No.26 – マジックが見る夢 – Happiness!

2002.06.04.(Mon) @ 銀座小劇場

 出演はゆみさん、アレマー玉井さん、カズ・カタヤマさん、YUKAさん、ナポレオンズのお二人、前田知洋さんの6組(出演順)。

前日まで

 チケットは電話予約をしておきました。その際「席は前の方で?」と聞かれたのですが、「う、後ろの方で…」と後ろの方に席を取って貰いました。初めて見るマジックショウで前の方に座ってその緊張に耐えられる精神力は無いような気がしますし、指定席のお芝居やコンサートは大体後ろの方で大人しく見るというのが私の定石ですので、今回もそうしようと思っていました。

 しかし、いざマジックランドにチケットを取りに行くとママさんが「良い席よー」と座席表を出して私が座ることになった席を教えて下さいました。なるほど確かに良い席です。ママさん曰く、「手を伸ばせば届きそうな席」です。座席表を見ながら卒倒しそうになった程です。ステージに出っ張りがあるなんて計算して無かったよ!Σ(゚Д゚)ガビーン。みたいな。ここで既にひどく驚いてしまいました。ああ、マジックって行く前から驚くものなのか……とマジックランドを後にしました(ママさん、色々ご丁寧にありがとうございました)。

銀座〜銀座小劇場

 翌日、銀座に行ってまずしたのが街酔いと人酔いでした。銀座は初めてではないものの、あの縦に伸びる街並みが感覚を狂わせるのか、地下鉄の出口で暫く青い顔で佇んでいました。人間の目は縦に効かないということが銀座に行って身に染みるとは思いませんでした。前に目をやると引っ切り無しに人が、人が流れてくる。嗚呼、流れるものは水だけでいいのに。田舎者の私はあまりの人の多さにも酔ってしまいました。ウプ。とは言え、あんまり同じ場所でぼんやり立っているのもアレなので、資生堂の赤ビルに一礼して銀座小劇場に向かいました。

 銀座小劇場では滞りなくsakamotoさんとお会いすることができました。レッツを見に行くに際して本当にたくさん相談に乗って頂いたので、直接お礼差し上げることができて良かったです。お礼を言うべきは私なのに、逆に頂き物をしました。わざわざありがとうございました。家宝にします。

 小劇場自体はこじんまりとしていて、ステージとも他のお客さんとも近いんですね。緊張しましたが、逆にそれが幸いして周りの空気を強く感じました。黙って座っていると、よく聞こえるんです。周りの声が。その聞こえてくる会話が何より不思議だったのかもしれません。聞き慣れぬアクセントで喋る人々が、その中でもまた聞き慣れぬ単語で話しているのです。今まで入り込んだことの無い、とても異質な空間に入り込んだようでした。配布していたゴム2本とPleasureを交互に弄びながら開演まで飽きることなく周りの話に耳を欹てておりました。とても変わった空間でしたよ…。
 ステージには白い(白かったように覚えているんですが)花が花瓶に幾つか。後でYUKAさんから紹介がありましたが、花はその都度イメージを伝えて作ってもらっているとか。花瓶も変わった形をしているように見えたんですが、ステージの端は薄暗くて良く見えませんでした。もう少し良く見ておけば良かった。今更ですが。

ゆみさん/アレマー玉井さん/カズ・カタヤマさん

 始まりはよく覚えていませんで。司会のYUKAさんが喋る後ろ、暗がりの中に浴衣姿のゆみさんがいるのが見えていました。ここら辺からはナポレオンズ大応援団さんに掲載して貰っていることと同じことになります。
 正直、暗がりの中のゆみさんの姿には違和感がありました。浴衣でマジックは。私の少ない知識で見てしまったのが問題かもしれませんが、『ウーム…』と唸るような思いで暗がりを見ていたのです。YUKAさんの「一足早い夏を、」という紹介で演技が始まると、カウンターを食らったような気になりました。マジックってただ単に一つ一つの"ワザ"を見るものでは無いんですね。ゆみさんの演技を見て思い知ったのはここです。『日本の夏』という情緒を含んだ一連の流れ、物語(というと少し大き過ぎるかもしれませんが)をじっと見せて貰いました。いやあ、本当に凄かった。
 視点を良い方にひっくり返される痛快さは堪らないとはどなたもお分かりかと思います。私もこのときひっくり返されたのです。


■話が変わりますが……
 何故自分がここまで『視点をひっくり返される』ことに拘っているのか考えてみると、理由があることを思い出したのです。つい先日。
 私は今年の初頭に一ヶ月ほど東京へ出張に行っていたのですが、その東京での休日に行った寄席が関係していたようです。初めて行く寄席で、特別誰が目当てだとかは無く、勿論そこでマジックが見られるとも知らなかったわけですが、いざ行ってみるとプログラムにはマジックがある。ラッキー!
 ……そんな楽しみにしていたマジックを見た後、私の顔は引き攣っていました。笑いを理解できなかったというのが一番の理由でした。自分を皮肉った芸というのがあって、それが私の中では逆転されずに、笑いに昇華されずにそのまま皮肉(つまり、マジシャン自身の卑下)として伝わったまま終ってしまったのです。
 しかし、他のお客さんは楽しんでいたようですし、それを考えれば自分の見る目が養われていないということのか、それともそんなこと関係無しにプロであるマジシャンが客を楽しませることが当然なのか。今も解らない問題ですが、この『自分が視点を切り替える』こと、『相手が視点を切り替えてくれる』ということは気付かないまましこりになっていたようです。
 忘れていたこととはいえ、暗がりの中のゆみさんを見たときの違和感は、多分そのときのしこりだったのでしょう。
 だからこそ、しこりが消えるほど気持ちの良い演技がここまで印象深く残っているのだと思います。非常に個人的な理由ではありますが、大変ありがたく思っております。


 ここからもう、夢の中、と思っていたら、「今日は、このステージのために富山から駆けつけてくれました!アレマー玉井さん!」と、凄い音楽が流れてきて(笑)、ライトが照らされると、そこには反射も激しいキンキラキンのスパンコールが付いたジャケットを纏ったアレマー玉井さんが。何だか別の所に連れて行かれたかのような錯覚すら覚えました(笑)。凄いプログラムになってるなあ、とここでも驚きました。
 アレマーさんがカッコよく決めて去って行った後、TONさんのハピネス『マジシャンはマジックを見せてるのが"幸せな状態"なんだよ。今、この状態がね』というお話があって、それからカズ・カタヤマさんのマジック。
 カズさんは、確かサスペンダーをしていたと思うんですが、その雰囲気や表情は愉快で滑稽なパントマイマーやチャップリンを思わせました。
 で、『オープン・セサミ』の順番です。多分。「この辺に、マジシャンが集まる喫茶店があるとか…そこでの話に少し耳を傾けてみましょう。扉を開くには合言葉が必要です」「オープン・セサミ!」と会場全体で言うとライトが当たり、ナポレオンズの登場です。

オープン・セサミ

 ここで初めてナポレオンズの二人を目にしたわけですが、十何年と平面でしか見たことの無い人が目の前に居て、当然ですが厚みはあるし、何だか想定外のサイズだし(苦笑)、ちょっと距離感がおかしくなったようで、暫くは変な感じがしていました。人間の目は突然のものにも弱い。
 あと、ステージに向かって左に植木さん、右に小石さんが向かい合わせに座っている。これがまた、いつも見ていたのと位置が逆な上に向かい合ってるから妙な感じなんです(わかりますよね?)。如何に自分がいつもの様式に嵌っているかということもよくわかりました。
 話は「マーカ・テンドーさんとカズ・カタヤマさんはどちらが幸せか?」ということから始まりました。ああ、流石マジシャンの集まる喫茶店、と思ったら、この話題は結局どちらが幸せかという結論には至らなかったかと思います(笑)。
 小石さんが植木家に居候していたという話。「(植木家の)長男が結婚して出て行って、次男も結婚して出て行って。で、アンタ(植木さん)も結婚して出て行って」それでも居候していたらしい小石さんと、出て行った植木さんが「一体誰の家なんだ?」。植木家は居心地が良かった、というお話でした。お小遣いを植木さんのお父さんとお母さん、両方から貰ったという話を聞いて『まるで子供の話だ』と思わずにはいられなかったです。
 植木さんのお母さんと小石さんの遣り取り。「小石さん、燃えないゴミのことは何って言うかわかる?」「"フ"ネンブツ、ですね」「じゃあ燃えないゴミは?」「?」「ネンブツっていうのよ」それを変だ変だと思いつつ、しばらく過ごして、ある日ごみ集積所に『可燃物(カネンブツ)』と書いてあるのを見て力が抜けてしまったという話もありました。
 色々な話があって、一番最後が『幸せな漢字の覚え方』。植木さんがスケッチブックに字を書いていき、小石さんが読み上げていきます。

◆(これは?)→「口」→(書き足す)→「日」→(書き足す)→「白」→(書き足す)→「百」→(じゃあこれは?)→「首………クビ!?」

 実に"フ"シアワセな漢字の覚え方でした(苦笑)。
 "フ"が付くか付かないかで随分な違いよ、という話だったのでしょうか、あのゴミの話は。
 これで暗転(だったような)、二人がステージから去っていった、

YUKAさん/ナポレオンズ/前田知洋さん

 ……と思ったら小石さんが出てきて「私、ここで司会をすることを忘れていました……。いつもシアワセ、YUKAさんです」とYUKAさんの出番。
 扇子で紙の蝶々をひらひら舞わせる、優雅な姿です。この蝶々のマジックが一番ハラハラしたのですがYUKAさんの表情が対照的に余裕だったのが印象的でした。
 ゆみさん、カズさん、YUKAさんは演技中に口を開くことは無かったのですが、だからより一層表情に目が行きます。お三方とも表情がすごく豊かで、それを見るのも楽しかったです。

 次がナポレオンズ。「フワリフワリと浮けたなら、あなたもシアワセ、マジシャンもシアワセ」ということで浮遊することになる美女をステージに上げて、出てきた道具は針のたくさん付いた「美女の串刺し」機。それを見て「あれ?これ道具が違うよ」。
 串刺しになって血が飛び散るといけないから、と美女の上にかけられた新聞に『ベッカムカムバック』と書いてあります。小石さんは『カマモトカムバック(+ペレ、ゴール)』と読んでいましたが、事実なら、そっちの方がマジックです。
 準備が整い、さあ串刺し!という段で「見たい人も居るでしょうから」と催眠術の時間となりました。美女はコクリと寝てしまったようです。素敵な美女さんです。でもその後、生前の写真を撮るために起こしていました(笑)。

 最後は前田知洋さん。黒いスーツを着ていますが、ピンクのスーツも片手に持っています。奥様はピンクのスーツが良いと言い、前田さんは黒が良いと思っている。さて、どうしようか、とスーツ問題はさておきピンクの紐を用いたマジック。紐が垂直に静止したりした後、ピンクのハンガーになったところで『あ、丁度いい』という感じでピンクのスーツをハンガーに引っ掛けて片付けてしまったところが可愛らしかったです。
 前田さんはテレビで何度か見る機会があったので、実際に生でこの目で見たときに『ああ、やっぱり物腰が丁寧でカッコイイ』ということを感じました。マジック王国での子供相手のときも、この場で見たお客さん(大人)相手のときも、同じように丁寧で。そりゃあ見てる人はいい気分だよー、と思ったのであります。素敵でした。

エンディングとそれから

 最後の前田さんの演技が終わって、もう一度出演者の登場です。順々に呼び出されていくマジシャンの皆さんに拍手を送って、ナポレオンズも出てきました。
 ツカツカと出てきて、舞台の真ん中で「ハイッ!」と。二人揃って勢いよく両手を広げてハイッ!とやって見せたのですよ。山上兄弟の二君のフリで。私はもう『うわ、コレ生で見れただけでシアワセかも(号泣)!』と心中取り乱しておりました。大の大人が小学生の真似をするという、その見事なバッタものッぷり。失礼を省みず言いますが、もー、超可愛かったっすよ(´Д`*)。いやあ、イイもん見た………。

 出演者の紹介が終り、手元に残ったゴムが気になりだした頃、時間が無くてこのゴムの説明はできないとのYUKAさんからの「ゴメンナサイ」がありました。それはそれで不思議として今も机の隣に置いてあります。(用途?はナポレオンズ大応援団に書いてありました。成る程)

 帰り、私の当初の予定としてはさーッと、逃げるように帰るつもりだったのですがsakamotoさんに連れられて、外で見送りをしている植木さんと小石さんのところへご挨拶に行きました。ナポレオンズのお二人、そしてカズさんとゆみさんにもとりあえず(ここが苦しいところだなあ)、「楽しかったです、ありがとうございました」と言えたので良かった良かった。嬉しい予定外の出来事でした。
 後で本物の山上兄弟(当然、北見伸さんと奥様もご一緒でした)の二君を見たのですが、『あっ、本物だ』と思わずにいられなかったです。最後にキレイなオチが来ました。アハハハ。

 マジックとビールは生が一番だということが良く解りまして、帰りに門仲の居酒屋で「とりあえず生」なんてオヤジみたいなことを言いながら、生が一番!と空きっ腹にアルコールだけ入れてレロンレロン。(・∀・*)イイ気分の酔っ払いになって宿に戻ってそのままバタン。どうも一日中酔っ払っていたような日でした。

 次の日起きて鏡を見ると、唇が真っ黒でした。寝てる間に唇が裂けて血が固まってたんです。おおかた、ニヤける夢を見たのでしょう。

『シアワセモノね、私って』。

*勿論、夢オチではありません。

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